MENU

ご挨拶

 

公益財団法人佐々木研究所は、その定款に定める「がんその他の疾患の予防・診断・治療の研究開発を行い、医学の進歩ならびに人材の育成を図り、より良い医療の推進、普及に努め、以って国民の健康増進に寄与することを目的とする」事業を、附属佐々木研究所、附属杏雲堂病院、附属湘南健診センターを研究実施施設とする医学研究機関です。昭和14(1939)年、当時の文部省より財団法人として認可され、平成24(2012)年、公益財団法人に認定されました。

初代理事長兼研究所長の佐々木隆興博士は、大正13(1924)年、「蛋白質及び之を構成するアミノ酸の細菌に因る分解とアミノ酸の合成に関する研究」で日本学士院恩賜賞を受賞し。昭和11(1936)年には、再度、吉田富三博士と共に「o-Amidoazotoluolの経口的投与による肝臓癌成生の実験的研究」で日本学士院恩賜賞を受賞しています。世界で初めて、実験動物の内臓に構造既知化学物質で人工的にがんを生成させることに成功した日本の誇る業績です。昭和15(1940)年、佐々木先生は文化勲章を授与されています。昭和28(1953)年、第2代研究所所長となった吉田先生は、同年、「吉田肉腫の病理学的研究」で2度目の日本学士院恩賜賞を受賞し、昭和34(1959)年には文化勲章を授与されています。

偉大な二人の先達に始まる動物実験を中心とするがん研究は、その後も新しい知見を創出し、医学の発展に多大な貢献をしてきました。その長い歴史と伝統を背景に、臨床に根差した医学研究を行っています。医療の現場で診療にあたる医師、看護師、その他の医療従事者が、ひらめきを持って患者に資する医学的課題を発掘し、その問題の解決を図り、医療に還元することが行うべきことです。以下の四つの公益目的事業に取り組んでいます。

  1. がんその他の疾患に関する研究事業
  2. 患者の生活の質の維持・向上に資する治療法の研究事業
  3. がんその他の疾患に関する予防医学的研究事業
  4. 臨床研究者の育成を図る事業

提起された医学研究課題に対して、実験結果を基盤として答えを出す基礎研究を附属研究所が行い、医療情報を基盤として答えを出す臨床研究を附属病院並びに附属健診センターが行っています。

附属研究所では、主として公益目的事業のうちがんを中心とした疾病に関する基礎研究に取り組んでいます。その取り組みは、他の研究機関ではやっていない観点からの研究であってこそ、研究所としての存在意義があります。がん研究に関しては、「がんとの共存を目指す」視点での研究を行っています。がんはDNAの病気です。人が生きている以上DNAに変異が生じることは必然であり、がんの発生は避けることが困難です。治療後、残存するがん細胞、がん幹細胞、転移したがん細胞の再増殖が大きな問題です。がん再発までの期間は、数カ月から数十年と様々です。がん細胞の再増殖開始を出来るだけ遅くすることで、休止期のがんと共存し、がんでは死なない工夫の研究が一つの重要な方向と考えます。

佐々木先生は1966年に亡くなられました。没後1周年記念講演会で、吉田先生が、「現在のがん研究の進展は目覚ましいものがあり、20世紀のうちに優れた薬ができているであろう。少なくともがんでは死なない社会になっているであろう。」と述べられました。吉田先生の期待は現時点でもかなえられていません。しかし、吉田先生の語られた「がんでは死なない社会」は目指す価値があると考えます。がんと共存しながらがんでは死なない社会の実現を目指します。がん以外の疾患としては、糖尿病等に解決すべき問題があることから、実験を基盤とした研究で答えを出して行きます。研究所では、この方向に向かって、ゲノム、メタボローム、インターラクトーム、プロテオーム、フェノームの5学問領域に立脚した5研究部で取組んでいます。

平成30(2018)年初夏

研究所長 関谷剛男

関谷剛男
旧佐々木研究所建物(昭和13年~平成元年)
旧佐々木研究所建物(昭和13年~平成元年)
佐々木隆興と吉田富三(昭和27年撮影)
佐々木隆興と吉田富三(昭和27年撮影)